一般的なスキーのワクシングは、滑走面の汚れを取り除いたら、アイロンでベースとなる固形ワックスを溶かして、スキー板の滑走面に垂らし、アイロンでワックスを溶かしながら滑走面全体に染み込ませます。その後、ワックスが固まるまで放置して、余分なワックスをスクレーパーで取り除き、最後に滑走面をブラシングして仕上げていきます。ベースワックスで下地ができたら、温度や雪質に合わせて滑走ワックスを塗るのが一般的です。
すでに経験のある方はご存じかと思いますが、この方法だとワックスのカスが大量に出て、しかも滑走ワックスの持続性はあまり高くないので、何度も繰り返しホットワクシングをしなければいけなくなります。それに宿泊先にワクシングのできる場所があれば良いですが、ある場所はかなり限られているように思います。
そこでお金をかけることなく、手間のかからないワクシングの方法を紹介します。
まずパラフィン系のベースワックスで下地を作るところまでは、これまでと同様です。そのあとで、滑走面にイソパラフィンを刷毛で塗り、パラフィン系の固形滑走ワックスを滑走面に押し付けて刷り込みます。イソパラフィンとは、炭化水素系溶剤のことで界面活性剤の働きで油分を洗浄する性質があります。引火性液体なので注意は必要ですが、ほとんど無臭で人体への害も少ない溶剤です。サーフボードリムーバーなどには、イソパラフィンを主成分とするものがありますので、比較的入手しやすいかと思います。
イソパラフィンが蒸発(常温で20分前後)すると刷り込んだワックスが滑走面に定着します。あとはワクシングをするだけで完成です。下の絵は、イソパラフィンを塗った滑走面にパラフィン系ワックスを刷り込んだ状態です。このまま乾燥させてワクシングします。
〇GALLIUM(ガリウム) BASE WAX(SW2132) 100g 880円(税込) 主成分:パラフィン
〇サーフボードリムーバー 500ml 1,390円(税込) 主成分:イソパラフィン
〇GALLIUM(ガリウム) HYBRID BASE NF100 100g 2,200円(税込) 主成分:ノンフッ素
- パラフィン系ベースワックスで下地を作ります。
- 滑走面にイソパラフィンを刷毛で塗ります。
- パラフィン系固形滑走ワックスを滑走面に刷り込みます。
- イソパラフィンが蒸発し、小さな気泡を有するワックス構造体になります。
- 20分前後で乾燥するのを待って、ブラシングします。
毎日固形滑走ワックスを刷り込まなければいけませんが、アイロンを使わないで、ワックスのカスも抑えられ、短時間に処理ができるのでお勧めです。