リフト券の目安

 日本スキー場開発の時間券導入の記事を上げていたので、リフト券の目安を考えてみようと思います。結論から言うと、時間券で滑った方が損をしないといえそうです。但し北海道をはじめ25時間券や30時間券など地元を対象とした時間券はあっても、遠方からのスキー客用の時間券(5~10時間券)は作られていません。用途に合わせて使い分けるんことが必要です。
 日本のスノースポーツ産業は、インバウンドの需要が年々増えてきて、今後人気のスキー場から徐々に全国のスキー場に拡散していく傾向にあります。ニセコスキー場は早期に不動産の買い占めが始まり外資によってスキー場周辺は地元以外のホテルやコンドミニアムが軒を並べ、またたく間に国際的なリゾート地へ変貌していきました。外資に占領されるとインフラの整備も早いのが特徴ですが、物価は国際水準で推移していきます。八方尾根スキー場も地価が3割上がり外資の波が来ていますが、まだインフラの整備が追い付いていません。ゴンドラは朝1時間以上待たないと上がれませんし、老朽化が進んでいます。リーゼンコースも一部崩落したままで整備が追い付いていません。宿の数が少ないので外国人の宿泊を占領されて行っています。併せてリフト代や食事代のレートが国際水準に近づいて行っています。
 確かなことは、温暖化が進行する中で、日本は数少ない降雪の国なので世界中から滑りに来るので、温暖化で雪がなくなるまでインバウンドは絶えないし、値上げは続くと思います。

【1日券・シニア券】

スキー場 1日券(大人) 1日券(シニア券) 備考
ルスツリゾート 11,200円 8,300円 Web価格
ニセコモイワ 9,900円 8,300円 Web価格
八方尾根 8,000円 7,700円  
志賀高原 8,000円 6,400円  
宝台樹 6,600円 6,000円  
かたしな高原 3,400円 3,300円 平日
かたしな高原 4,900円 4,400円 土日祝日

 Vail Ski Resortを例にみると、大人の場合、1日券は平日で約229ドル(34,000円)、週末で269ドル(40,000円)です。ピーク時には料金が上がることもあり、直前に購入すると299ドル(45,000円)に達することもある。こうした事例は国内スキー場運営会社も見ていますから、インバウンド需要が高まると、平日券と週末券それに繁忙期の料金がスキー場の需要に合わせて変化していく可能性があります。ルスツの1日券11,200円はまだ外国からすれば安い金額なのです。ここ数年で国内の主要スキー場は大人1日券1万円を超えてくると予想されます。

【時間券】

スキー場 時間数 料金 料金/時間
ルスツリゾート 25時間 31,500円 1,260円
ニセコモイワ 30時間 44,000円 1,467円
ニセコヒラフ 30時間 54,900円 1,830円
夏油温泉 20時間(早割) 21,800円 1,090円
夏油温泉 20時間(通常) 26,000円 1,300円
POWDER5ぐんま 10時間(早割) 9,600円 960円
POWDER5ぐんま 20時間(早割) 18,700円 935円
宝台樹 5時間 5,600円 1,120円
宝台樹 10時間 10,500円 1,050円
宝台樹 20時間 19,500円 975円
丸沼高原 5時間 5,500円 1,100円

 北海道のニセコやルスツの時間券の考え方は、道民へのサービスとして提供されています。そのため25時間券や30時間券など1泊2日や2泊3日の旅行者には使いづらいのが特徴です。たぶんスキー場側からすると首都圏からの旅行者の多くは旅行代理店のパック旅行で来るので、時間券の対象ではないと考えているのかもしれません。これに対して、群馬県の「POWDER5 ぐんま」のように地域単位で共有した時間券の場合は、10時間券や20時間券とリフト売り場の渋滞緩和や複数回量の促進が見え隠れしています。

1日券8,000円を時間券に換算すると、1日5時間滑走するとき1,600円/時になるので、これを目安に見ていくとよいと思います。今のレートだと2,000円/時までは上がる可能性があります。

 スキー場側の戦略からすると、リフト券の販売方式を現地の窓口からWeb販売に切り替えていき、電子チケットの早期割引を含む時間券(5時間・10時間・20時間)へと切り替えていく必要が出てくるでしょう。シーズン中は1日券も平日券、週末祝日券、繁忙期券など多様な価格設定が必要かと思います。ひとつの目安として覚えておくとよいでしょう。

参考
STEEP「2024ー2025スキー場リフト「時間券」情報」
https://steep.jp/topics/98193/