あなたは加圧派それとも保温派

スキーウエアの下に着るアンダータイツですが、足首までのものをタイツとかレギンスと呼んだりしています。膝下ぐらいのものはスパッツと呼ばれています。

いつ頃からアンダータイツは使われていたのかというと19世紀末のヨーロッパ頃からだという記述が複数の文献に残されています。当時のスキーは、まだ冬山での狩猟や移動手段として行われており、防寒対策は十分ではなかったので、ウールのタイツやパンツを重ね着して、防寒性を高めるようにしたのが始まりのようです。

20世紀に入ると、スキーヤーの間で、より快適にスキーを楽しむための工夫が始まりました。その一つが、アンダータイツの素材の改良です。ウールからナイロンやポリエステルなどの化学繊維に切り替わると、吸汗性や速乾性、伸縮性に優れたアンダーウェアが開発されました。また、体にフィットする立体裁断や、保温性と通気性を両立した素材の採用など、機能面の向上も進みました。1960年代には、フリースなどの化学繊維の登場により、アンダーウェアの保温性がさらに高まりました。また、1980年代からは、ストレッチ性や吸汗速乾性に優れたアンダーウェアが普及し始めました。1990年代以降は、女性用アンダーウェアの開発が進みました。女性の体型に合わせて設計されたアンダーウェアは、フィット感や動きやすさが向上し、女性スキーヤーの間で人気を集めています。2000年代以降は、機能性とファッション性を兼ね備えたアンダーウェアが登場しています。保温性や通気性、伸縮性に加えて、デザイン性にも優れたアンダーウェアは、スキーヤーの間で新たなトレンドとなっています。

テーピングの理論がアンダータイツやインナーパンツに取り入れられたのは、1990年代後半から2000年代初頭にかけてです。日本ではワコールから2008年にCWXが発売され、以降多くのアスリートやスポーツ愛好家に指示されてきています。近年では、環境への配慮から、リサイクル素材を使用したアンダーウェアも開発されています。また、抗菌防臭機能や消臭機能、UVカット機能などを備えたアンダーウェアも登場しています。

傾向として、スキーのアンダータイツは、競技性が高くなるにしたがって加圧力が高くなり、サポート性に優れてきます。しかしその分、保温性は阻害されやすくなりますし、着脱にも時間がかかります。そしてアンダーパンツなので主に下肢に商品が限定されてしまいがちです。一方、スキーというカテゴリーから離れて、登山というカテゴリーで見てみると、山を登るので、軽量で保温性と通気性が大前提で、汗で体が冷えないように吸汗性や速乾性に優れ、動きを妨げない伸縮性があることが求められます。それと上下の下着が対象になります。



最近はイタリア製のmicoを愛用していたのですが、極寒冷地対応のベースレイヤーがほしいと探していました。高齢化してくると、競技特性を重視するのもよいですが、長時間加圧すると疲労が蓄積しやすくなります。それより、むしろ下半身だけではなく上半身も「寒くない、動きやすい、軽い」などの条件がクリアされる方が、よりスキーを楽しむ時間が長くなりそうです。

そこでスキーウェアの下に着るベースレイヤーとして今回ご紹介するのが、ひだまり本舗のエベレストプロです。創業者の山口和男氏が、寒冷地の作業現場で働く従業員の冷え対策を目的に、1枚で保温性の高い肌着を開発できないか検討し、2012年に、3重構造の生地で丁寧に編み上げ、キルトウェーブ加工(カシミアの様な柔らかい肌触りが特長)を施すことで3つの生地の間に空気層を作り、冷気を通さず体温を蓄え、ぬくもりを保つ「エベレスト」が生まれました。

エベレストプロのハイネックは、ベースレイヤーとしての下着として使い、寒冷地ではミッドレイヤーのダウンを羽織って、撥水性のあるアウターを着ることもできれば、アウターがダウンの場合は、エベレストプロの上にアウターを着ても良い製品なので、スキーの用途に合わせて使い分けができそうです。それにしてもこの暖かさは素晴らしいです。

CW-X GENERATOR MODEL HOT
CWX BASIC PERFORMANCE SECOND BODY 2.0
MICO MAN LONG SLEEVE MOCK NECK IN-7021 / 3/4 TIGHT PANTS CM-7024
ひだまり本舗
繊研新聞『健繊「ひだまり」肌着がヒマラヤから宇宙へ ISS内で着用計画』