至高のスキーブーツ

数あるスキーブーツの中で、何年かに一度、履いた瞬間に完璧なブーツが出現します。2020-2021シーズンのRECON PROは完成度の高い隠れた名器と言えそうです。

一般的にエキスパート用のブーツは、ラストが狭くシェルの硬度が高い競技ブーツをベースに、ダウングレードされていくので、競技用の性格がいろいろな部分で見え隠れします。例えばラストが細くて足が締まるとか、シャルが硬くて着脱に苦労するとか、バックルを締めるとリフト1本で足がしびれるとか、ホールドを重視した設計は、レース用のバーン以外では苦労することも少なくありません。しかしK2の開発スタッフは、ブーツのフレックスとスキーのフレックスを組み合わせることが重要であると考え、硬くてもしなるという相反する性質を兼ね備えたブーツの開発に成功しています。

新しいPowerlite Shellは、4つの異なるTPUの剛性と最適な壁の厚さを組み合わせることで、高い剛性と1740g(26.5cm)という軽量化に成功しています。

横方向の剛性を伴う前後のフレックス強度とパワーは、ネジやプレートを使うことなく、ブーツの後部に配置されたPOWERFUSE SPYNE(Y字型の補強材)で提供しています。

それにPowerliteシェルの甲部分にソフトなTPUを配置したことで、素早く簡単に足の出し入れ(HANDS FREE ENTRY)ができます。

踝から脛骨部にかけて包み込むようなホールド感を既製品で実現していることには驚かされます。

それにNAVICULAR PUNCHはK2唯一の画期的なシェル形状でしょう。NAVICULARとは外頸骨のことで、足の内側のアーチの中央部に生じる過剰骨のひとつで、本来1つにまとまるはずの骨が別々に分かれたままになってしまうことで、舟状骨の隣にできます。文献によると5-14%の人に外脛骨があるとされています。

アウターシェルの形状が合わないと、この外頸骨を圧迫し痛みが出ることがあります。この外頸骨にアウターシェルがあたらないようあらかじめパンチしてあるのは唯一K2ブーツだけなのです。

それに女性用の新製品ANTHEM PROにはふくらはぎが当たらないようにカフの形状を低く設計されています。